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第12部分(第3/5 頁)

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まリビングへ行くと、真っ暗な部屋はシンとしていた。

「……健人?」

名前を呼んでも、反応はなかった。雨音と、時折雷鳴の音が響いてくるだけで、部屋の中からは物音が一切しない。稲妻の光で部屋の中が照らし出されても、人影は無かった。

歩はリビングの中に入り、濡れたかばんをその場に置いた。髪の毛から滴ってくる水滴を右手でぬぐい、額に張り付いた前髪をかき上げる。ぐっしょりと濡れた髪の毛はかき上げただけでも、かなりの量の水が溢れてきた。

雨音が空間を支配している。暗いリビングに健人の姿は見えない。部屋に居るのだろうかと、階段へ続く扉の前に移動したとき、窓の外から雷の光りが差し込んできた。それに続いて、雷鳴が聞こえてくる。

「……っ!」

漏れるような聲が聞こえて、歩は振り返る。ソファ��斡紺碩駐盲皮い餚擻挨虯k見して、それに近づいた。

ソファ��韋趣長恧匭肖�取⒔∪摔�漸榨々‘と家の壁の隙間で蹲っていた。膝を抱えて座っているせいで表情は分からないけれど、尋常ではないぐらい震えているので怖がっていることは一目瞭然だった。

「健人!」

小刻みに震えている健人の肩を摑むと、悲鳴が耳を突いた。パニックに陥っている健人は目の前に居るのが歩だと気づかずに、伸ばした手を振り払う。雷が鳴ると驚くように體を震わせて、自分のひざを抱え込んだ。雷が鳴ることなんて今までたくさんあったはずだ。そのたび、健人はこうして一人苦しんでいたのだろうか。こんなに暗い部屋で、誰も怖がっていることに気づいてもらえず、雨がやむのをこうして待っていたのだろう。そう思ったら居た堪れなくなった。

歩は膝をついて震える體を、包み込むように抱きしめた。

「……な」

いきなり抱きしめられた健人は、何が起こったのか分からなかったが、縋るように濡れている腕を摑む。目の前に差し出された手に、縋らずには居られなかった。怖すぎて泣くこともできず、恐怖だけが頭の中を支配していた。

雷は嫌いだった。

大きい音と、いきなり光る稲妻が、とても怖かった。小さいころ、一人でいることが怖いから電気をつけていたのに、雷が落ちたせいで停電し、辺りが真っ暗になってしまった。すると頭の中で一気に怖いことが思い浮かんで、それらが襲い掛かってくる。それが物悽く怖かった。怖くて堪らなかった。こんなにも怖がっているのに、誰も助けてはくれなかった。

健人にとって、それが一番、怖かった。

「大丈夫だから」

優しい聲が聞こえて、健人はゆっくりと息を吐き出した。まだ、抱きしめてくれているのが歩だと分かっていなかったが、優しい聲は耳から脳へと響いてきた。濡れていて冷たいはずなのに、抱きしめてくれている體はとても溫かくて、心地よかった。雨の音も、雷の音も、遠ざかっていく。

少し硬くてごつごつとした手が、背中を優しく撫でる。大丈夫だからと耳元で囁かれて、心拍數もようやく元通りへと戻っていく。

やっと、怖がっていることに気づいて助けてくれた。そのことに安堵した健人は、ようやくパニック狀態から抜け出すことができて、現狀を把握する思考を取り戻した。

健人は少し顔を上げて、抱きしめている歩の顔を見る。2、3度瞬きをして、目の前に居るのが本當に歩なのかと自分の目を疑った。雨に濡れたのか、髪の毛や服はび

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