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、これ以上、こんな曖昧な関係を続けて行く方が恐怖を感じる。一度、嫌いと言われたのだから、今回だって大丈夫だと服を握りしめた。こんな覚悟をしなければいけないほど、追い詰められているのが現狀だった。
會話も無く、二人はただ、家へと向かって歩いている。気溫は日中の最高まで達しているせいか、歩いているだけで汗が流れてくる。まだ、公園の日陰に居た方が気持ち良かった。影も短く、照りつけている太陽は弱まることを知らない。ジ��俯‘と蟬の鳴き聲が、やたらと耳についた。
あっという間に家に到著してしまい、健人は息を吐きだした。流れてくる汗を腕で拭って、靴を脫ぐ。歩は先にリビングへ行ってしまって、玄関には健人がいるだけだった。このまま、逃げてしまいたい。それでも、逃げ出す勇気すら暑さに奪われてしまった。
玄関で靴を脫いで、家の中に入る。リビングに繋がるドアが、とても分厚く感じる。家と言うものは、家庭を守るシェルタ��扦ⅳ輟⒓易澶違匹轔去戛‘だ。その中に足を踏み入れて良いのは、家族だけだ。入りづらさを感じると言うことは、その家族の一員で無いことを意味するのだろう。以前から感じていた、家の中の居づらさ。健人は家族から認められていないと思っていた。本當の家族は、母と義父と歩だけなのではと、勝手に決めつけていた。けれども、一人、居づらさを感じていただけで、本當に拒絶していたのは健人だったのではないだろうか。半端ものだと言われているように思いこんでしまい、健人自身が家族を受け入れていなかった。勝手に作られた新しい家族を、健人は拒んでいたのだ。
その結果として、最初に、歩を嫌った。同い年だから、言いたいことを言える相手だった。義父も、健人に內緒で再婚した母にも、裡切りを感じていたけれど、育ててくれている恩があるから文句など言えなかった。態度にも出すことが出來なかった。けれど、歩は摺�ΑQ�飪帳�盲皮い勝堡欷小⒂�皮皮玀槨盲皮い毪銫堡扦玀勝ぁ¥郡坤甕�尤摔取⒁瘓wだった。だから、感情を素直に出すことが出來たし、嫌うことだって簡単だった。歩がどう思うかなんて、健人の頭の中には一切無かった。歩を嫌っていると言うことは、家族を拒否しているのと同等で、健人は無意識のうちに歩を嫌うことで家族を認めていないと言い張っていたのだ。
近寄ってほしくない。構ってほしくない。そう思うことで、自分のアイデンティティを確立していたのだ。所詮、嫌っていること自體が、自己満足と言うわけだったのだ。
それなら、歩に嫌われても仕方ない。傲慢だと言われ、大嫌いと言われるのは當たり前だ。歩からしたら、そんな健人の考えは知ったことではないからだ。新しくできた兄弟に、歩は仲良くなろうと近づいてきてくれたのに、健人がそれを最初から拒否した。そんなことをしてしまえば、歩が良いように思わないのは分かりきっていることだ。それでも、歩は健人に優しくしてくれた。同情からかもしれないが、あの雨の日から、歩は変わってくれたのだ。
それがどう言うことなのか、健人には分からない。分からないから、こうして悩んでいるのだった。
「……健人?」
ドアノブを握ったまま、入ってこない健人に不安を覚えて歩はリビングの扉を開けた。不安げに見上げる健人を見つめて、歩は「どうしたの?」と尋ねる。今にも泣きそうな顔は、あの雷の日とダブり、胸が苦しくなった。
「……俺と、話し合うなんてイヤだった? 健人がイヤなら……」
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